やっとの思いで終えた営業プレゼン。「ああ。今日も反応がいまいちだったな。」そんな風に落ち込んでいる方はいませんか。営業プレゼンで失敗してがっかりするその気持ち、非常によくわかります。何度やってもうまくいかない。永遠に上達しないんじゃないか。そんな気がしてきますよね。
でも安心してください。営業プレゼンに限らず、すべてのプレゼンには上達のカギが存在するのです。生まれ持った才能がなくてもそのカギを手にすれば、誰もがプレゼン上達の扉を開けられる可能性を秘めています。今回はそんなプレゼンのカギ、「ロジカルシンキング」に関する記事です。ロジカルシンキングを使えば、誰もがプレゼンを武器にできます。それでは本記事で、プレゼンのカギを理解していきましょう。
目次
プレゼンは取引先の相手や会社の上司など、他人に評価されて初めて意味を持ちます。いくら自分の伝えたいことを並べても、相手が分かりにくいと感じたり興味を示さなかったりしたら、その時点でプレゼンの時間は無駄な時間へと変わり果てるのです。まずはプレゼンの本質的な目的とは何か・相手に評価される良いプレゼンとは何かを理解しましょう。そうすればなぜロジカルシンキングが重要なのかが自然と見えてきます。
良いプレゼン。それは人を動かすことのできるプレゼンです。ターゲットに自分の求める行動を起こしてもらうことがプレゼンの目的と言えます。プレゼンを行ってターゲットに動いてもらう状況や場面はたくさん想像できるでしょう。たとえばあなたがとある営業先に出向く場面。お得意先に新商品を置いてもらえないか交渉に行くとします。するとこの場面では、相手に新商品を置いてもらうという行動を起こさせることがプレゼンの目的です。どんなに魅力ある商品を企画部や商品開発部が考えても、営業職であるあなた次第では相手に望んだ行動を起こさせるのは、困難になります。やはりプレゼンで相手を動かすことは、会社にとってもあなたにとっても非常に重要であると言えるでしょう。
ではどうしたらプレゼンの目的を達成することができるのでしょうか。言い換えれば、どんなプレゼンなら相手を動かすことが可能なのかということになります。答えは明確です。それは「ロジカルシンキングを用いる」のひとことに尽きます。ロジカルシンキングを上手に使えば、結果として相手に自分の望んでいた行動を起こしてもらうことができるからです。逆にロジカルシンキングを使わないでプレゼンを行っても、相手に望んだとおりの行動を起こしてもらうのは、現実的には不可能に近いでしょう。
ロジカルシンキング。ここまで再三にわたり、この言葉の重要性をお伝えしてきました。ではそもそも、ロジカルシンキングとはなんのことでしょうか。
ロジカルシンキングは、日本語で言えば論理的思考になります。平たく言えば論理的に考えて議論を展開せよということなのですが、具体的にはどうすれば良いのでしょう。ここではロジカルシンキングの基本構造から、その基本構造を用いたプレゼンへの応用方法まで分かりやすく紹介していきます。
ロジカルシンキングを理解し実践するために、是非とも知っておきたい基本的構造があります。それが、ピラミッドストラクチャー(ピラミッド構造)です。ピラミッドストラクチャーとは次のような構成になっています。上の階層から順番に、
です。
これがロジカルシンキングの基本構造です。まず明確な結論があり、それを論理的な根拠が支え、さらにその根拠を具体的な例が補強することで現実に立脚したものとするのです。
つまりこの構造に基づいて思考を進めたり、この順序で相手に口頭や文章で伝達したりすることがロジカルシンキングということになります。
ロジカルシンキングによるプレゼンは結論、すなわちあなたの目的が明確です。ピラミッドストラクチャーに基づき結論を真っ先に述べることで目的はさらに明確になります。
そして、なぜその結論になるのかの論拠が明瞭に示され、それを相手に響く具体例が支えることで、あなたの結論を受け入れることが自分にとっても最善であると自然に納得することになるのです。
もし議論の中に納得できない部分があったとしても、どこがそうであるのかがはっきりしているので、そこを擦り合わせてゆくことで建設的な合意に辿り着ける可能性が非常に高くなります。これがプレゼンをロジカルシンキングに基づいて行うことの最大のメリットです。
ロジカルシンキングを理解したところで、いよいよプレゼンに落とし込む方法をお伝えしていきましょう。まずあなたのプレゼンで、行動を起こしてほしいターゲットとその行動を明確にします。次にターゲットに起こしてほしい行動に有効な情報、すなわち結論を考えていくのです。
結論がはっきりすれば、後は簡単です。その結論をより信憑性の高い情報にするために、結論の根拠を列挙します。根拠の数は状況にもよりますが、3つか多くても4つくらいにすると良いでしょう。そして最後に根拠の具体例を挙げれば完成です。このようにロジカルシンキングの基本構造を理解すれば、プレゼンにも落とし込むことが可能なのです。
プレゼンに限らず、ロジカルシンキングでは結論から述べることが重要であると先ほどより説明してきました。これをプレゼンでより効果的に実践するための、有力な組み立て方が2種類あります。1つがPREP法です。もう1つはSDS法と言います。これら2種類を効果的に使い分けることができれば、あなたのプレゼンはさらに良いものに変わっていくでしょう。まずPREP法です。この手法を使ったプレゼンの流れとしては、
となります。この手法のメリットとしては、より結論を強く印象付けることができることです。より相手の行動を強く促す効果が期待できます。一方のSDS法の流れは、
となります。この手法を使うと、相手の理解が深まりやすい点がメリットです。
どちらの手法も基本的な構造はピラミッドストラクチャーと同一で、最後にもう一度結論(要点・概要)を提示することでプレゼンの結論の伝達を確実にしています。
相手を直接行動へと導く必要がある営業プレゼンではPREP法が適していることが多いですが、結論と議論全体のどちらに重点を置きたいかで有効な戦術も変わってきます。状況次第でどちらの手法を使えばいいのか、判断する能力も身につけていきましょう。
ロジカルシンキングを用いたプレゼン。これは優れたプレゼンをする上で、最も重要な要素であることはすでに理解して頂けたと思います。しかし、今から紹介する方法を取り入れると、あなたのプレゼンはさらに向上するでしょう。ではより優れたプレゼンをするために、大切なことを順番に見ていきましょう。
プレゼンをする上で、話をすることと並んで大切なことがあります。そう、資料作成です。この資料をいかに有効活用できるかが、プレゼンで相手を動かせるかどうかに大きく関わってきます。
まず前提条件として注意する必要があるのが、資料は相手が見て理解して初めて意味があるということです。ですので資料作成では、相手の立場に立ってものごとを考える必要があります。フォントサイズや色などデザインにこだわりたい気持ちも分かりますが、見やすさを最優先に考えて資料を作成しましょう。また資料は要点がストレートに伝わるようシンプルであることが重要です。
そう、ここで再び活きてくるのがロジカルシンキング。ロジカルシンキングでは結論をはっきりさせて、相手に分かりやすく情報を伝えることが大切でしたね。プレゼンと同じで、資料も伝えたいことが明確でなければなりませんし、その伝えたいことが自然に相手の腑に落ちるように構成されていなければなりません。これらのことに気を配り資料を作成すれば、相手の行動を促す、より優れたプレゼンをすることができるでしょう。
プレゼンが失敗してしまう最大の原因の1つが緊張やアガリ。プレゼンが苦手な方は、逃げ出してしまいたくなるほどのプレッシャーに苛まれることも珍しくないでしょう。「緊張してうまくいかなかった。」なんて事態は避けたいですよね。
では、緊張や不安はなぜ生じるのでしょうか? その最大の理由は「先行きが見通せないこと」にあります。そこで、ロジカルシンキングに基づいたプレゼンの準備が威力を発揮します。事前にピラミッドストラクチャーに基づいて準備していれば、あなたの結論は明確であり、なぜそうしなければならないかという根拠は事前に網羅されており、それを現実世界の例によって示せるようになっているはずですね。つまり、予測不可能な部分があらかじめ排除されているので、自信をもってプレゼンを進めることができるはずです。
そうはいってもアガってしまいそうという人も多いでしょうから、プレゼンの場面で緊張をほぐす方法も知っておきましょう。根本的な話をすれば、緊張をほぐす一番の近道は、プレゼンの練習をたくさんすることです。たくさん練習して、それを録音しましょう。録音した音声を聞いてみて、違和感を感じる部分を修正していく。これはプレゼンの練習としては、かなりおすすめの方法だと言えます。これも本質的には予測不可能な要素の排除ですね。
しかしどんなに練習しても、本番は緊張しますよね。そんな時はストレッチをしてから、プレゼン会場に入りましょう。論理的思考も実は体が支えています。体がリラックスすれば、心も少しリラックスできます。焦らずに自信を持って、プレゼンに挑みましょう。
優れたプレゼンをするために、最後にお伝えしたいことがあります。それはロジカルシンキングを用いた明晰なプレゼンを行っても、人を動かせないことがあるということです。人は感情で行動する生き物です。どんなに論理的なプレゼンを展開しても、営業先に断られる。そんなケースもあります。
しかしそうは言っても、簡単に諦める訳には行きませんよね。そこで、プレゼンをする時には、相手の感情にも働きかけることを意識しましょう。感情に働きかける方法の具体例としては、相手に想像してらうことが挙げられます。テレビ番組で何かの大きさを強調したいときに、「東京ドーム何個分の大きさです!」とか言いますよね。こんな感じでプレゼンをするときは、相手に想像をしてもらうように仕向けていきましょう。
思考とプレゼンがロジカルシンキングで明晰に組み立てているからこそ、その流れのどこで相手の感情を揺さぶれば良いのかが見えてきます。こちらの論理と相手の論理をを突き合わせることで相手の思考も先読みし、そこで思わず引き込まれてしまうような相手に即した具体例を投げ込みましょう!
ここまでロジカルシンキングの基本構造から、ロジカルシンキングのプレゼンへの応用方法、さらにはより優れたプレゼンの作り方まで解説してきました。それでは最後に、ロジカルシンキングを本格的に身につけて、実際の業務でしっかりと活かせるようになるためのおすすめ方法をランキング形式で発表します。ここまで学んできたことはあくまで基本・理論です。実践力を身につけるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
書籍での学習。まずはこちらがおすすめの学習方法第3位です。書籍でロジカルシンキングを学習することの最大の魅力は、やはりお財布にやさしいことです。2,000円くらい出せば、誰でも気軽にロジカルシンキングを学習することができます。安い本だと1,000円以下の本もあるくらいです。
逆に書籍で学習することには大きなデメリットがあります。それは、聴き手になる人がいないことです。つまり、書籍で学習するインプット段階では問題はなくても、実際にプレゼンを試すアウトプットの段階になるとフィードバックがもらえないことを意味します。
ロジカルシンキングを用いたプレゼン力の向上には、アウトプットとフィードバックが欠かせません。書籍で学習する方はこのことを忘れないようにしましょう。そういう意味でも書籍での学習は、最初の一歩としてはコストパフォーマンスもよく、おすすめの学習方法だと言えますね。
続いておすすめ方法第2位は、研修・セミナーに参加することです。各地で開催される研修やセミナーでロジカルシンキングを学ぶのも、優れた学習方法と言えるでしょう。セミナー・研修の魅力としては、グループで学習が進められる点でしょう。書籍だと途中で挫折する可能性もあります。しかしセミナーでは、スケジュールも決められているので途中で心が折れてしまう可能性は低くなるでしょう。
しかしセミナー・研修にもデメリットは存在します。それが講師の方の質です。とあるネットの口コミでは、セミナーに参加したものの講師の方の質が低くて残念だったとありました。セミナーや研修に参加するときには、講師の方のリサーチをしっかりと行うことを推奨します。
学習スクールに通う。これはロジカルシンキングを実践的に身につけたいという方には、最もおすすめの学習方法です。学習スクールのメリットとしては、受講形式をオンラインと対面から選択できることや実践練習が可能であることが挙げられます。
中でも最大のメリットは、レベルに合わせてカリキュラムの選択ができることでしょう。これは本やセミナー・研修ではなかなか実現が困難です。スクール形式であることで、事前に無料相談もできますし自分に合った講座を受けることが可能になります。一方スクールのデメリットは、対面の場合スクールの場所で受講が制限されることでしょう。しかしこのようなケースでは、オンラインの受講が選択できるので臨機応変に受講しましょう。
「プレゼンがうまくいかない。」社会人なら誰もが抱える悩みだと思います。今回の記事では、この悩みを解決するには、「ロジカルシンキング」を身につけて実践できるようになることが重要だとお伝えしてきました。実践的なロジカルシンキングの力を身につけるには、実際に練習してアウトプットすることが重要です。皆さんもぜひ、ロジカルシンキングを学習してみてください。そしてプレゼンを武器にして、より優れたビジネスパーソンへと成長していきましょう。