ロジカルシンキングのトレーニング方法は?優秀な営業が実践していること

営業に求められるロジカルシンキングとは

優秀な営業はロジカルな考え方や話し方ができている

ロジカルシンキングが身についていると、以下2つを自力でできるようになります。

  1. 客観的に物事を整理して、次に行うべきことを導き出す
  2. 相手に合わせて、話の要点を分かりやすく説明する

これらは営業活動で日常的に必要とされることですよね。例えば1の例として、月末までに営業目標を達成するにはどうしたら良いか、計画と実績を見比べて作戦を立てるシーンを想像してください。優秀な営業は、現時点での営業目標の達成率や、進行中の商談の状況を整理して、残りの期間で何をすべきか素早く検討をつけることができます。とにかく頑張るとか、がむしゃらに動くのではなく、「次に何をすべきか」自分で考えて答えを見つけることができるのです。

次に2の例として、取引先企業への製品/サービス説明や提案のシーンを想像してみます。商談の成功率が高い営業は、複数の取引先に同じ製品/サービスの話をするときでも、相手のニーズや理解度に応じて説明の仕方を変えているはずです。そして、話が長すぎるとか、いまいち何を言いたいのか分からなくて相手が飽きてしまうというような失敗も少ないでしょう。相手が必要としている情報を簡潔かつ順序立てて話すことができるため、相手の理解を得やすいはずです。このように、優秀な営業は普段からロジカルシンキングを活用しています。

コミュニケーション力とは何か?

優秀な営業とは、どのような特徴を持った人物でしょうか?営業部門内で受注案件数が特に多い人、いわゆるトップセールスを「優秀な営業」と定義すると、イメージが湧くかもしれません。思いつきやすい答えとしては、「明るくて清潔感があること」「行動力があること」などでしょうか。そして必ず挙げられるのは、「コミュニケーション力が高い人」です。競合企業もいる中で魅力的な案件を獲得するには、取引先企業の担当者の信頼を得て、長期的な関係を築いていく必要がありますから、コミュニケーション力はもちろん重要です

コミュニケーション力というと、初対面で印象が良く誰からも好かれるような人を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれも大事なことですが、それと同等かそれ以上に大事なのは、先様のニーズを的確に把握し、こちらのソリューションをわかりやすく伝えることで話をしっかり聞いてもらい、信頼関係を築き、成約へとつなげてゆくことです。この時に武器になるのがロジカルシンキングなのです。

それでは、どうすればロジカルシンキングを身につけることができるのでしょうか。具体的なトレーニング方法をお教えします。

今日からできるロジカルシンキングのトレーニングと実践

ステップ1. 整理する(考える・書く)

問題を解決したいときや、資料を作成するときに、書きながら考えを整理する人は少なくないでしょう。この時に論理的に思考する習慣をつけることがロジカルシンキングのなによりのトレーニングとなります。

考えの整理に使うロジカルシンキングの枠組み(フレームワーク)は幾つもありますが、たくさん覚えて理解すればロジカルシンキングが身につくわけではありません。自分の考えを整理しやすいフレームワークを1つか2つ持っておけば十分です。大事な仕事で漏れなく検討することや、資料の説得力を増すことが目的であれば、そのときにインターネットや本の情報から適切なフレームワークを探して使用すれば良いのです。日常的にロジカルシンキングを身につけたいのなら、フレームワーク探しに時間をかけるよりも、1つか2つのフレームワークで思考・トレーニングを繰り返して、使いこなせるようになる方が得策です。ここでは、問題解決のために物事を整理するフレームワークとして、シンプルなものを1つ紹介します。

まず、紙に3つのワード、「問題」「原因」「アクション」を横並びに書きます。あとは、それぞれのワードに下に思いついたことを書き出していくだけです。書き出す内容は以下のとおりです。

  • 問題
  • 困りごと、解決したいことを一言で表します。主観的意見ではなく客観的事実を心がけ、可能であれば数値化しましょう。(例:○○案件の商談からクローズまでXX日以上と時間がかかり過ぎている)

  • 原因
  • 問題が起きている理由を挙げていきます。「なぜ起きたのか?」という問いを繰り返し、根本原因に行き着いたら、他に原因がないか改めて考えます。(例:取引先である○○社の利害関係者を把握できていない、依頼要件が頻繁に変わる、など)

  • アクション

原因を見ながら対策を考えます。原因とアクションが1対1である必要はなく、似ているものはグルーピングします。具体的な行動まで落としてください。短期施策(すぐに取り組めるアクション)と、長期施策(別途検討が必要なアクション)は分けましょう。(例:○○社の担当者に利害関係者をヒアリング&決裁者のニーズを調査する、○○社の課題の仮説をつくり、認識齟齬がないか確認する、など)

これを15~20分以内で終わらせます。何時間も考え込んだところで良い案が浮かぶとは限りませんし、15~20分以上考えても納得のいく答えが出ないのであれば、そもそも問題設定や原因の検討が適切ではないか、自分が持っている情報では答えが出ない可能性があります。タイムマネジメントもビジネスパーソンに求められるスキルの一つです。時間をかけすぎる前に上司や同僚など誰かに相談してみましょう。

ステップ2. アウトプットする(話す・見せる)

論理的に考えられるようになったとしても、それを的確に伝えることができなければロジカルシンキングは完成しません。営業職においては特にそうでしょう。

そこで、ステップ1で整理した内容をアウトプットするのがロジカルシンキングのトレーニングの第2のステップとなります。日常業務でのアウトプットの形としては、誰かに言葉で伝えるか、資料化して見せるかのどちらかであることが大半でしょう。口頭で伝える場合に意識することは、以下3つです。資料化する場合もほぼ変わりません。

  1. 最初に会話の目的と概要を示す
  2. 「相手が知りたいこと」と「自分が伝えたいこと」の要点に集中する
  3. 相手の理解度に合わせて言葉を選ぶ

こうしてみると当然のことだと思われるかもしれません。でも、意外といらっしゃるのです。「いきなり本題に入る方」「相手が知りたいことよりも、自分が伝えたいことを延々と話す方」「自分の会社や業界の用語を多用する方」。これらのことをしてしまうと、話を聞いている人は頭の中で情報を整理することが難しいため、どんなに一生懸命話しても上手く伝わりません。最初に会話の目的と概要を伝えれば、自分も相手も、話の内容を整理する箱を頭の中に用意できます。

次に、「これだけは話したい!」という要点は、資料がなくても手元にメモしておくと良いでしょう。要点以外の話は、時間と相手の様子(詳しい説明を必要としていそうか)に応じて加えれば充分です。不要な情報が多すぎると大事な情報が埋もれてしまうので、情報をたくさん与えれば良いというわけではないですよね。

そして、相手の知識量や理解度に合わせて話せることもスキルです。ビジネスの場で相手が難しい話を理解できていない場合、聞き手の理解力の問題(だけ)ではなく、話し手のトークスキルも問題であると捉えることが大切です。なぜなら、その場で話の内容を共通理解とするためには、話し手が聞き手に歩み寄るしかないからです。もちろん、聞き手が事前配布資料に目を通していなかったとか、異動してきたばかりで基礎知識がないという場合もあります。それでも「今、何をすべきか」を考えると、平易な言葉に言い換えるといった配慮は求められるでしょう。目的をロジカルに捉えることで自ら取るべき行動が見えてきます。

ロジカルシンキングスキルを伸ばすトレーニング方法

あらゆる場面でロジカルシンキングの実践を繰り返す

上記でご紹介したロジカルシンキングのステップ1~2を様々なトピックで繰り返します。思考パターンは習慣化されているので、意識しないと元のパターンに戻ってしまいます。そのため、ロジカルシンキングを使った思考や行動は、最初は意識的にトレーニングに取り組む必要があり、少々面倒に感じてしまうかもしれません、しかし、慣れてくるとロジカルシンキングが業務効率や業務品質の向上に有効であることに気付くでしょう。繰り返すほど、もやっとしていた問題を整理して打ち手までたどり着くまでのスピードが向上します。それほど複雑ではないトピックであれば、頭の中で問題設定からアクション導出まで行えるようになるはずです。商談中や会議中など、会話しながらでも情報の整理が行えるので、これまでなら持ち帰っていた検討事項も、その場で返答できることが増えるでしょう。

実務においてもフィードバックをもらう

ロジカルシンキングスキルを伸ばすためには、ケーススタディなどのトレーニングもありますが、実際の業務に関するトピックで鍛えるのが最も身近な方法でしょう。上記のステップ1を経てステップ2でアウトプットした内容について、フィードバックをもらえるのなら、是非やってみてください。

突然「ロジカルシンキングを身につけたくて……」と切り出すのは難しいかもしれませんが、例えば取引先の担当者に対し、商談中や直後に「ここまでの内容で、説明が足りない点や分かりにくかった点はございませんか?」と尋ねることができます。上司への進捗報告や相談であれば、「○○の問題は△△が原因だと考えていますので、対応としてXXしたいのですが良いでしょうか?」「他にご心配な点はございますか?」という聞き方もできます。回答によって、自分の思考や説明において抜けていた観点に気付けますし、客観的に自分がどのように見えるのか知ることができ、今後に向けて改善すべき点が見つかります。

「丁寧に分かりやすく説明したつもりだったのに、上司から『もっと論理的に説明して』と言われてショックだった」という声を聞くことがありますが、ロジカルシンキングができているかどうかを自分で判断することは難しいため、積極的にフィードバックをもらいましょう。

まとめ:営業力の向上につながるロジカルシンキング

アウトプットとフィードバックの繰り返しがトレーニングのカギ

冒頭で述べたように、優秀な営業が持つ営業力・コミュニケーション力において極めて重要となるのがロジカルシンキングです。今回ご紹介したロジカルシンキングのトレーニング方法は、ステップ1. 整理する(考える・書く)とステップ2. アウトプットする(話す・見せる)の2ステップで何度も行えるものです。他のスキルと同様、一朝一夕で身につくものではなく意識して繰り返すうちに習得できるので、まずは実践してみてください。

ステップ1で止めてしまうと自分の中だけで完結してしまい、ロジカルシンキングの効果をなかなか実感できないでしょう。というのも、ロジカルシンキングはアウトプットして初めて相手や環境に変化をもたらすので、いくら思考だけを繰り返していても、質の良い思考にはなりにくいのです。せっかく考えて生み出したものを自分の中だけに留めず、周囲の人間にアウトプットして反応を確認し、フィードバックをもらって思考や行動に反映してみましょう。ロジカルシンキングスキルの向上に引っ張られる形で、営業力やコミュニケーションの質に変化が訪れ、自分や周囲が気付くはずです。

特にテレワークの普及が進んでいる現在、社内外との対面機会の減少により、熱意やテンポの良い営業トークだけでは相手に響かなくなってきています。物理的な距離にかかわらず、貴重な会話時間内に伝えたいメッセージを分かりやすく説明するスキルが求められています。同時に、成果主義が進む環境において短時間で成果を上げるために、次に取るべきアクションを迅速に判断して行動に移す効率性も求められています。

スクールでの効率的な習得もおすすめ

いかがでしたでしょうか。ロジカルシンキングスキルを短期間で習得したいのであれば、スクールでの習得もおすすめです。上記で述べたように、スキル向上においてはアウトプットとフィードバックの繰り返しがカギとなります。様々なトピックで何度も練習し、プロの講師の目線でフィードバックをもらうことは、成長を促す上で非常に有益です。

自己啓発本やビジネス本を使って学ぶことも一定の効果を期待できますが、個人の状況やスキルに合わせたトレーニングをしてフィードバックをもらうには、人間を相手に練習するのが一番です。業務を通してトレーニングをするのは実践的ですが、アウトプットやフィードバックの回数を短期間で重ねることは難しい場合もあります。できるだけ早くロジカルシンキングを身につけたいのなら、学習スクールも検討してみると良いかもしれません。

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