理想の上司になるために気を付けるべき事9選 〜アパレル販売員編〜

「理想の上司」とは部下の思っている事をしっかり理解できている人です。今すでに部下がいる人は自分が理想の上司となっているか、これからマネジメントをしていく人は、どういう点に気を付けるべきかを知り、理想の上司をめざしましょう。
「アパレル販売員」と聞くとどんなイメージを持つでしょうか?華やか・オシャレ・洗練されている…などと、煌びやかなイメージをお持ちの方も多いでしょう。一方、服を買いそろえるのは大変そう…ノルマとかもあるんじゃない?という負のイメージを想像される方も居ると思います。今回はアパレル販売員歴10年、店長経験もある「Aさん」が、アパレル販売員で働くにあたって感じた「上司に気をつけて欲しい事」を紹介して頂きたいと思います。これはあくまでも「Aさん」の体験した職場での話になり、アパレル販売の中では特に厳しい職場だったと思われます。近年のアパレル業界の中にはコミュニケーション良好な職場も沢山ありますので、全てがこのようなことに該当するわけではありませんが、この記事を読んでいる管理職の方に少しでも共感して頂けるところがあれば幸いです。

挨拶しやすい職場づくりを まずは自分から挨拶をして見本を見せる

従業員同士が楽しく働ける環境を作ることは上司の務めです。とくに挨拶はどの職場でも基本中の基本です。でも、声が小さかったり、慌ただしい時間で言うタイミングを逃し、「挨拶しなかった」などと思われては残念なこと。「挨拶もまともにできない人は、裏で作業して」なんて、裏方に回されてしまった事例もあるそうです。
もし、挨拶のしにくい環境になってしまっている場合は、どんなに忙しい時でも挨拶をしようと伝えたり、上司自ら積極的に挨拶をしていくように心掛ける事で、自然と職場の雰囲気も良くなっていくものです。

店長よりも早く休憩に入れないと思っている部下が多い

店長の接客が長引いてしまい、下のスタッフは休憩に入る時間が無くなってしまう…また、店長は自分の好きなタイミングで休憩に出たいので、ローテーションがうまく回らなくなってしまう…なんてこともあります。中には、スタッフが足りなさ過ぎて休憩時間が取れない、なんて話も聞いたことがあります。

このような時に、「先に休憩行って良いよ」と言ってくれる上司は魅力的です。「店長が先に休憩に行ってズルい」と思われるのではなく、「店長より先に休憩にいくのは申し訳ない」と思わせなければなりません。忙しい時にこそ相手のことを考え、優しく接してあげることで部下のモチベーションは上がります。

売り上げよりも大切な事を考える
自分の売上は自分で作る

基本、アパレル業界では「ノルマ無し」といわれることが多いですが、「売り上げ目標」「個人売」と言われる、数字での目標値はあります。これが達成できないと本社から怒られる…というのは当たり前。そういった事もあり、後輩スタッフの売り上げを「私がフォローしたから売れた」「レジ打っておくね~」なんてさらっと取ってしまう上司も過去にはいたんです。
売上に貪欲なのは良いことではありますが、このように部下の売上を奪い取る行為は一瞬で信用を失うことになります。心当たりのある方は気をつけて下さい。

売り上げが悪い時こそリーダー力を見せるチャンス

地方の閑散とした店で一日の売り上げが0の事も勿論あります。本社に報告する数字が0、は上司からすれば絶対避けたい所なのです。そんな時、本来絶対やってはいけないと言われていますが、「靴下でいいから買ってよ」と上司から言われることもあります。上司はそれ以上の金額の物を買っている時もあります。
売り上げが無いのは部下のせいではありません。ましてや自分も買ってるからという理由で部下にも買わせるなどということは言語道断です。売り上げが無いのにはサービスの質以外にも色々な要因があると思います。例え売り上げが無くても、本社からの問い詰めから部下を守ってくれるような上司は信頼されます。信頼できる上司となら、売り上げを上げるために次の一手を考える気持ちにもなります。ぜひそんな一緒に頑張ろうと思われる上司をめざしてください。

実は嫌がれているかも!?コミュニケーションのための飲み会

急な飲み会はやめて、事前に企画を

棚卸前・セール前などはお店が閉店してから作業をすることが多いため、どうしても残業が多くなる時期です。毎日遅くまで作業し、疲れた、帰りたい…という時に限って上司たちは飲み会を開きたがります。奢るから!といわれても、スタッフからすれば正直疲れているので一刻も早く家に帰りたい…と思いつつ、誘いを断るのは非常に難しいのです。もし誘いを断ろうものなら、ノリ悪いな~…と思われてしまう始末。

少し前の時代でしたら、このようなコミュニケーションの取り方は当たり前だったかもしれません。とはいえ誘ったのに来てくれないのは悲しいという気持ちもわかります。一方、部下は、予定があったり、家の都合があったり、様々な事情があるため、突発的に誘われると困るのも一理あります。今は、ワークライフバランスの世の中ですので、飲み会の企画は事前にしておいてあげるといった配慮が必要ですね。実はその飲み会に本社の偉い人が参加していて、直接自分の頑張りをアピールする機会になる…なんてこともあるんです。そういった場合は、誘う理由も付け加えてあげると、部下も参加したい!と積極的になるかもしれません。

ミーティングと称した飲み会もやめよう

休憩はバラバラ、勤務時間もバラバラ、スタッフ全員がそろう事は中々ありません。ミーティングを行います…となると、大抵居酒屋です。最初多少は真面目に仕事の話をするものの、後半は愚痴、恋愛話、悪口…などと普通の飲み会になってしまいます。そして朝まで飲んだ後、店長クラスは次の日もともと遅番のシフトになっているか、堂々と遅れて出勤してきたことも…。
はっきり言ってミーティングは居酒屋はできません。仕事とプライベートにはしっかりとメリハリをつけて、従業員と接していく必要がありますね。

店で着用する洋服は、新商品を譲る気持ちを

アパレル店員として働くとなると必要なのが、店で着る制服です。指定の物が有るショップもありますが、私の働いていたショップでは季節ごとの新作が出るたびに購入するスタイルでした。もちろん社割で購入できるのですが、まずは上司から順番に選んでいき、一番下のスタッフは全く着たくもないものを買う羽目になる…ということもありました。新作が入る度にすぐ上司が購入するものを決めてしまうため、下のスタッフは本当に無難ないつでも売っているようなものばかり着ていることも…。
こちらは、もはや人として考え方の問題です。新しいものを着て仕事をしたいという思いもあるのかもしれませんがそれは皆一緒です。例えばローテーションを組んで、新作は順番に着ていくなどの仕組みを作ってあげると、従業員は嬉しいかもしれませんね。「自分が」ではなく、チームで売り上げをあげるために、一人ひとりが気持ちよく新商品を身に着けられるように、配慮してあげましょう。

洋服の丸かぶりは事前ルールづくりで防ぐ

お店の商品によっては、好評だった同じデザインを翌年も継続して販売する、ということも有ります。それに気づかず、下のスタッフが購入して着て行った日…去年の物を着てきた上司と丸かぶり!なんてこともありました。本来去年の物は着用しないルールなのですが、そんなのお構いなしに、泣く泣く下のスタッフが違う商品を購入して着替える結果となりました。
誰が何を着るのかということは、予め話し合っておきたいですね。このようなことは従業員からは言い出せないので、上司が率先して取りまとめてあげたいところです。

冠婚葬祭は率先して休ませるべき

社会人にもなると、友人の結婚式に呼ばれることも多くなってくると思います。招待状が来た、式の予定日の数か月前にシフト相談すると、「その頃は新しいキャンペーン有るかもだからまだわからない」などとはぐらかされ、結局式の返事を出すことが出来ず断る…なんてこともありました。また、祖母が亡くなって、地元に帰らなくてはならないから数日休みが欲しいと相談すると「それって行く必要あるの?」と言われたこともあります。
このように冠婚葬祭であった場合に休暇を取らせないことは、上司だけではなく、その会社へのクレームと発展し、最悪の場合上司自身に処分が下さられるという事もありますので、絶対に無いようにしましょう。

売れない原因を擦りつけない

商品がただ売れればいいというわけではなく、単価が高いものを売るように、在庫が余っているものを売るように、と指示される事があります。接客が終わった後に「なんであの商品を売らなかったの?」と問い詰められることもあります。
商品を最終的に選ぶのはお客様。狙ったものを確実に買ってもらえるわけではありません。売れなかった事よりも、明日はこういう切り口でやってみよう!など、建設的な話をしましょう。

注意する時は、まわりに聞こえない場所で

怒る時はストック(倉庫)に呼び出されて怒られる…お客様に聞こえなければいいだろう、という事なのでしょうが、売り上げが悪いから、お客さんが少ないから、といった自身に直接理由がないことでも呼び出されて怒られる…ということもありました。他のショップでも同様な事が起きていて、ストックに入るのが気まずい…なんてことも。
周囲の人達にも聞こえるように怒鳴るという行為は、従業員のプライドを大きく傷付けます。もちろん指摘をしなければいけない場合もありますので、その時は、誰にも聞かれないような場所で、冷静に注意をしましょう。間違っても感情に身を任せて怒鳴るようなことはしてはいけません。

部下の意見を取り入れる

販売員はただ商品を売るだけではなく、お店のディスプレイ・ショーウインドーのコーディネートなど、売るための施策を考えなくてはなりません。上司の中には、絶対にマネキンのコーディネートを部下にはやらせない、なんて方もいます。上司が休みの日にマネキンの商品が売れてしまったのでマネキンを着替えさせただけで怒られる…などと、店の中の事は全て自分が管理しないと気が済まないというパターンです。

このようなことは、責任感の強い方に多いです。自分のやり方に自信とこだわりがあるので、邪魔をされたような気持ちになるのだと思います。ただ、上司が一人で経営をしているお店なら良いのですが、店舗は皆で働く場所です。お互いを信用し合い、意見を出し合って決めるということが必要です。

何より謙虚である事

これまで理想の上司になるために気を付けることについてお話してきましたが、これらの上司たちについて共通して言えること…それが「自分は好かれている・尊敬されている」と思っていることです。自分が理不尽なことを言っているとは気付かず、部下に対して言いたい放題になってしまうのです。

今の時代の上司に求められていることは「謙虚さ」です。一昔前までのマネジメントは「トップダウン」といい、上が言うことが絶対でした。今は「ボトムアップ」といい、部下からの意見を吸い上げて会社の方向性を決めていく時代です。部下の気持ちや意見を汲み取り、正しいやり方を一緒に考えていける上司には、自然とたくさんの人に好かれ、尊敬されます。

「理想の上司になるために気を付ける事~アパレル販売員編~」いかがでしたか?

想像しているよりも、販売員という職業には理不尽な事が多い…と思われた方も多いでしょう。そして、Aさん自身も同じようなことを部下に対して行ってしまったこともあったようです。部下のマネジメント方法をそれしか知らないというのもありました。でも同じことを繰り返していたのでは、部下も成長しないし、なによりも自分のためにならない、と思い考えを変えて行かれたそうです。
具体的にはどうすれば良いのかを考え、まずは部下とのコミュニケーション方法を学ぼうとスクールに通い、部下との付き合い方を少しずつ改善していき、部下との良好な関係を築くことが出来るようになったそうです。もしあなたが上司の立場で、先に述べたようなことをしていた!と感じたり、自分のマネジメント不足を感じているのであれば、一度コミュニケーションの勉強をしてみるのも一つの方法かもしれません。