ビジネスでは、用事がなくて電話を掛けてくる方はまずいません。急ぎの電話もよくあることなので、迅速に担当者につなぎ、不在の場合は適切な対応が必要とされます。受け答えの時間は平均して短いものですが、電話対応のマナーは大切です。掛けてきた方に対して、良い印象を持たれるにはどうしたら良いのでしょうか? 担当者へ電話が掛かってきた場面を想定して、どんな場合でも慌てずに済む電話の受け方をご紹介したいと思います。
目次
電話の問い合わせの内容は様々な場合があり、その都度、受け方にも臨機応変な対応が求められています。まずは電話対応の基本について、順を追って解説していきたいと思います。
一般的な電話は、1コール=3秒といわれています。そのため、マナーとして2~3コール、約10秒以内に受話器を取ることが理想です。「え、1コールじゃないの?」と不思議に思われる方もなかにはみえると思います。実は私自身、新入社員の頃に「電話は1コールでとりなさい」と言われていました。そのため、慣れるまでは電話のコールが気になって仕方がなく、いかに速く受話器を取るかで頭がいっぱいでした。仕事に対する集中力も欠けていたと思います。また、電話を掛けてきた側にとっても、電話を受けるのが速いため、間違いで掛けてしまった方に気まずい思いをさせてしまったり、つながるのが速くて驚かせてしまったり。そんなことが、しばしばありました。そのため、私自身の経験から2~3コールがベストではないかと考えます。
「あれ? ○○さん?」電話を受けた声を聞いて、実際会った時と声の印象が違うと感じたことはありませんか? 電話の音声はいつもより少し低い音になって相手の耳に届いています。そのため、電話での話し方のコツは、声を1トーン高くすると良いです。意識をして、いつもよりほんの少し明るくすること。逆にクレーム対応の場合は、1トーン声音を落とすなど、少しの工夫で相手に好印象を持たれます。さらに、聞き取りやすいように話をするときは、ゆっくり丁寧に話すことも大事です。
担当者が在席しているかどうかを確認する場合や、なにか確認事項が必要な場合は、「確認しますので、少々お待ちください」とお伝えします。ビジネスフォンの保留ボタンを押して、保留音を流す時間はどのくらいまでが失礼にならないのでしょうか? 人が我慢できる保留時間は、およそ30秒といわれています。それ以上の場合は電話を掛けてきた相手にストレスになってしまうので、もう少し確認が必要な場合は改めて電話をすることを伝え、折り返したほうが良いです。
電話対応のマナーとして、話が終わったあと、相手が電話を切るまで待ちましょう。お互いに無言で待っているような状態だった場合は、3秒待って切れば失礼にはならいないです。また、受話器を置く時は音を立てて置かないよう、注意して通話を終えましょう。
電話対応はビジネスの窓口です。会社の窓口で接客するのと同じことなので、おざなりにするのではなく、全ての電話に対して丁寧に対応しましょう。会社の印象をあげるきっかけにもなります。急にそんなことを言われると戸惑ってしまうかもしれません。でも安心してください! 電話相手へ、なにをどんなふうに伝えるべきか、基本を知っていると困ったときにも応用が利き、落ち着いて対応ができます。はじめて電話対応をする方にもわかりやすいフロー図と、対応の仕方をご紹介したいと思います。
オフィス電話では様々な問い合わせを受けますが、こちらでは担当者へ向けて電話があった場合の受け方と取次の仕方をご紹介します。
※オレンジ色=電話を掛けてきた相手 ※青色=自分(電話を受ける側)
【フロー図について】
会社名や名前を名乗らず、問い合わせをされる方も時にはみえます。その場合は「かしこまりました。失礼ですが、会社名とお名前をいただけますでしょうか」と尋ねましょう。
在席中の表示は「担当者が社内にいる場合」になります。外出中は、「担当者が社内にいない場合」と考えてください。
社内に担当者がいた場合でも、電話に出られない様々な理由があります。
場合 | 伝え方 |
---|---|
席を外している | 「申し訳ございません。ただいま席を外しております」 |
電話中 | 「申し訳ございません。ただいま他の電話に出ております」 |
お昼 休憩中 | 「申し訳ございません。ただいま昼休憩に出ております」 |
会議中 | 「申し訳ございません。ただいま会議に出ております」 |
※作業中で手が離せない場合、その通りに伝えてしまうと失礼になるので、「申し訳ございません。ただいま席を外しております」とお伝えしましょう。
用事があるため電話を掛けてきているので、不在のことは伝えつつ、「もしよろしければ、ご伝言を承りますが」など要件をお聞きし、担当者へ伝えます。
場合 | 伝え方 |
---|---|
外出している | 「申し訳ございません。××はただいま外出しております」 |
出張している | 「申し訳ございません。××はただいま終日、出張しております」 |
出社していない | 「申し訳ございません。××はまだ出社をしておりません」 |
病欠している | 「申し訳ございません。××は本日お休みをいただいております」 |
※ 病気で休んでいる場合の伝え方については、プライベートなことなので、極力伝えないほうが良いです。そのまま伝えてしまうと電話を掛けてきた相手に心配をかけてしまうため、「しばらくお休みをいただいている」など配慮が必要です。事前に、電話が掛かってきた場合、どのように伝えるべきか上司と相談しておくと安心です。
電話を掛けてきた相手がまた折り返すと言ってくれた場合も、マナーとして担当者に電話があったことを伝えましょう。
①で会社名や名前は聞いていますが、折り返しをお願いされた場合は、電話番号を尋ねると共に、もう一度会社名や名前を聞いても問題ありません。「失礼ですが……」とひと言添えると丁寧です。
担当者が社内にいない場合「いつ頃社内に戻るのか」を明確に伝えます。わからない場合は「戻り時間は未定となっておりまして……」と伝え、伝言を伺いましょう。
オフィス電話の応対でときどきある困ったこと。特に電話対応に不慣れな場合は、問い合わせに対して「えっ? どうしよう……」と混乱をしてしまいますが、どのように伝えるべきか知っていれば安心です。まずは落ち着いて対応しましょう。イレギュラーなことが起きたとき、どう対応すれば良いのか、受け方のビジネスマナーをご紹介します。
相手が急いでいる場合、早口で聞き取れないことも。他にも聞き慣れない名前に困ってしまうこともあるかもしれません。その場合は、下記のように対応すると良いでしょう。
丁寧にお願いすればもう一度言い直してくれると思います。
商品やサービスについての不満やお叱りなど、電話を受けた場合、まずは自分が落ち着くことが肝心です。苦情に対する対応が悪いとさらに火に油を注ぐ様な状態になり、得意先の信頼を失う結果につながります。落ち着いて要件を伺い、謝罪をはじめとした丁寧な対応を心掛けましょう。
自分が悪くない場合でもお詫びの必要はあります。反論したり、ごまかしたりしないようにしましょう。
FAX番号と電話番号を間違え、掛かってきた場合、電話を受けても定期的な電子音「ピー」と音が鳴るだけなのでその場合は電話を切ります。また、完全に無言である時には、間違い電話、電話機の故障、携帯の電波が遠いなどといった様々な原因が考えられます。こちらの声は聞こえている可能性も考え、「もしもし?」と3回くらい呼びかけて、返答のない場合は受話器をそっと置いてください。
不要なセールスの電話が掛かってきた場合は、適当にあしらうのではなく、そういった場合にも丁寧な対応をしましょう。日頃からそうした態度を身につけておくことで、イレギュラーな状態が起きても対応ができます。ぜひ実践してみてください。
勧誘については、しっかり理由をつけて断りましょう。対応が難しい場合は上司に相談をしてください。
せっかくのビジネスチャンスができても、電話対応が悪いと相手の気持ちが変わってしまうこともあります。それだけ電話対応は重要です。オフィスで勤務をしていると、担当者ではなくても電話を受けるタイミングがあることでしょう。突然の問い合わせに混乱しないために、それぞれがマナーを学んで、知っているのが一番良いですが、現実はなかなかそう簡単にはいかないもの。そのため、オフィスにマニュアルが1冊あれば困った時に読めるだけでなく、新入社員が入社した時の資料としても役立ちます。とても便利なので、ぜひ電話対応のマニュアルを作り、役立ててください。わかりやすいマニュアルの作り方や、さらにスキルアップしてビジネスマナーを身につけたい方はビジネスコースや講座で学ぶのがおすすめです。