仕事で学んできたこと1つひとつをタンスにしまい込み、自由に引き出しを開けて取り出す…人の記憶も収納できたらどんなに良いか! 何度も思ったことがあります。それを叶えてくれるのが「自分用マニュアル」です。
現実は、膨大な知識を1から10まで、事細かに覚えておくことはかなり困難です。「あの時、どう処理するんだっけ?」そう悩んだ時、あなたの記憶の引き出しの役目をしてくれるのがマニュアルです。自分がもつ知識を書類やデータに残すだけで、困った時に見返せるばかりか、仕事の引き継ぎにも役立ちます。これからマニュアルを作りたいと考えている方の手助けになるようなマニュアルの作り方をご紹介します!
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新しい環境で仕事をはじめたばかりの方は、「あれこれ覚えることばかりで頭もパンク寸前!」だと思います。そんな方におすすめしたいのが自分用のマニュアルを作ること。方法はまず、教えてもらったことをノートにメモすること。それから、メモした内容を、自分と同じ立場にある人に向けた手引きとしてまとめ直すのです。これにより、雑然としたメモが後々まで役に立つ自分用マニュアルに生まれ変わります。
「ノートだけ残せばでいいんじゃないの?」という声も聞こえてきそうですが、話を聞きながら字を書くことは案外難しいです。説明をする方も書くスピードに合わせてくれるとは限らず、時間がとれない環境であれば、字の綺麗や汚いは気にせず、話を聞き逃さないように必死で殴り書きをするだけで精一杯になります。そうしたノートはあとで読み返しても意味不明で、また同じことを聞かなければいけないことになってしまいます。また、聞いたことをまとめる作業の一環としても、マニュアル作りはおすすめです。
メモしたものを後でマニュアルに起こす作業は正直にいうと、大変手間がかかります。ですが、マニュアルにすることはその日に覚えたことの「復習」になり、より仕事内容を嚙み砕くことができ、いつかは成果につながります。そして、作ったマニュアルは困った時の心強い味方になります。ぜひがんばって作ってみてください!
メモを取っている姿は、先輩・上司・取引先など目上の方にとって嬉しいものです。なにより、自分が話していることを理解してくれようとする姿には好感がもて、信頼関係に結びつきます。さらに、世間話の1つをとっても自分用のマニュアルを作って事前に見返しておけば、後で話題に困った時にも話のネタになり、「そんなことも覚えていてくれたの?」とさらなる好印象をもってもらえます。
メモを起こして完成した自分だけのマニュアルはもう「努力の結晶」です。なにより宝物といって過言ではありません。マニュアルは仕事を覚えて何年たっても、困った時に自分自身を助けてくれます。これは断言できます。そして、読み返した時に思わぬアイデア発見につながることも。ぜひ自分だけのマニュアルを完成させてみてください。
あなたが作った仕事マニュアルを必要としている人がたくさんいます。例えば、次に新しく入社される人に渡せば、引継ぎ資料のひとつになることも。会社にとって貴重な資料だと思います。
以上のことから、メモ&マニュアル作りは、ぜひ癖として身につけると良いと思います!
それでは、マニュアルの作り方をより実践的に見ていきましょう。自分用マニュアルを作る時のポイントは「他の人が読んでわかるよう書く」ことでしたね。従って、自分用マニュアルも、多くの人が使うためのマニュアルも、基本は全く同じになります。
世の中には手順書・手引書・取扱説明書と様々ありますが、一番大切なことは誰にとってもわかりやすいマニュアルであるということ。「突然言われても…じゃあ、わかりやすいマニュアルってどんなもの?」と首を傾げている方のために、こちらではあえてわかりにくいマニュアルとわかりやすいマニュアル、2つを使いご紹介したいと思います。
過去の失敗があったからこそ、マニュアルを作り、足並みを揃えたいという会社や企業も多いのではないでしょうか? 例にしたのは、文房具を販売する会社が福袋を販売するにあたり、「福袋に入れたい商品3点」のことや、昨年の状態を反省して「引き換え券を使いたいこと」、「コロナ対策を万全にしたい」ことなどの盛り沢山の情報をマニュアルにしたいと思います。
構成を考えずにマニュアルを作ろうとすると、ただ情報を並べただけの、文字の羅列になってしまいます。伝えいことが多い分だけ、わかりにくいものになってしまいがちです。これからマニュアル作りを考えてみえる方は下記の「わかりにくいマニュアルの作り方」に当てはまらないか、ぜひチェックしてみてください。
読みにくいマニュアルは見逃しや、そもそも目を通してもらえない事態も起こってしまいます。では、わかりにくいマニュアルはどのように改善すれば良いのでしょうか?
わかりやすいマニュアルの作り方として、まずは、ビジネスワークの5W3Hに当てはめて、自分が読み手へ何を誰へ伝えたいのか、根本的に考えていきます。
5W3H | 意味 | 内容 |
---|---|---|
When | 時期 | 2021年1月2日(土) |
Where | 場所 | 文房具を販売をしている複数の店舗へ向けて |
Who | 対象 | 店長・店員に向けて |
What | 課題 | 福袋について、整理券と引き換えについて、コロナ対策について |
Why | 目的 | 全店舗足並みを揃えたい。販売の円滑化 |
How | 手段 | 商品についての知識共有と整理券・陳列の事前準備 |
How many | 規模 | 各店舗1ooセット販売(1人1点に限る) |
How much | 費用 | 11,000円(税込) |
What(課題)について、伝えたいことは3つあります。こちらでは「福袋について」、「整理券と引き換えについて」、「コロナ対策について」を具体的にしていきます。マニュアルは分厚くなればなるほど、必要な部分しか読んでもらえなくなるので、項目に分けて内容を明確にする必要があります。ここでは【】で区分けをして読みやすくしました。
わかりやすいマニュアルでは、一番伝えたい「福袋について」が目的の次にきています。一番最初に目にする位置に重要な内容(福袋についての情報)を記載します。その次に入るのが引き換え券の発行について、また当日の流れや、陳列棚についても触れています。また、今回の内容のように、複数人と1つのマニュアルを元に同時進行する場合、それぞれ読み手により解釈がちがうため、文章のみの表現では伝えることは難しいと思います。(陳列棚の配置について)画像を添付し、説明をしていくとより伝わりやすいです。特に、長い文章は最初はしっかり読んでもらえますが、最後の細かな部分まで目を通してもらえにくいため、絵や画像などの一見してわかる情報を載せると良いでしょう。
マニュアル作りでおすすめしたい機能が「office.com」が提供するテンプレート。こちらはエクセル、ワード、パワーポイント全てに備わっている機能です。デザインがある程度できているので、表示すればあとは形に合わせて文章を入力をしていくだけ。見栄えの良いマニュアルが短期間で作ることができます。しかも、それぞれの機能ならではの特色があるので、自分がどう活用していきたいのかを考え、目的に合わせて作ることをおすすめします。以下ではエクセル、ワード、パワーポイントそれぞれでのマニュアルの作り方を紹介します。
エクセルには「マニュアル」と検索してもテンプレートがでてきませんが、そのかわりにチェックリストや計算式が入ったものも多くあり、長く使い続けていくマニュアル作りは特に適しています。ここでは「作業一覧」テンプレートを使ったマニュアルの作り方を紹介します。
正式なマニュアル作りにピッタリ。テンプレートを選べば簡単にデザインができ、文章の誤りもチェックできます。「マニュアル」テンプレートを使ってマニュアルを作成する手順は以下の通りです。
パワーポイントで作ったマニュアルは、スライドショーで表示することができます。会議で説明する場合にもそのまま使える点がとても便利です。こちらも「マニュアル」テンプレートを使った作り方を見ていきましょう。
会社や企業にとって、もっとも手がかかり、それでも必要とされているものが「マニュアル」です。日々の仕事をこなしていく上で、時間を取られるマニュアル作りにまではなかなか手が回らないかもしれませんが、自分用にマニュアルを作成していけば、以後の同様の仕事は遥かに効率的に失敗なく進められるようになります。
さらに、マニュアル作成のメリットはそれだけではありません。2020年より、新型コロナウイルス流行のため、様々なデジタルワークを導入しているところが増えてきました。それに伴い、新しい人材の出入りが今後増えていくはずです。仕事の引継ぎが必要になったときに役立つのもこのマニュアルなのです。
最後にご紹介させていただいた、マイクロソフトオフィスアプリケーションのテンプレートを利用していけば、簡単にマニュアルを増やしていくことができます。自分がこれまでに築き上げてきた仕事の手順や新しく学んだことを少しずつ残していくだけで、自分だけではなく会社や企業にとっても、よりよい未来が開けていくので、ぜひ積極的に取り入れて欲しいと思います。ぜひ自分にしか残せないマニュアルを作ってみてください。