マイクロクレデンシャル(Micro-Credential)という言葉をご存知でしょうか。「Micro:小規模、短期間」な「Credential:資格、証明書」という英単語から成り、特定のスキルや知識を短期間で学び、その成果をデジタルバッジや証明書で可視化する認定資格を意味します。今回はマイクロクレデンシャルの特徴やメリット、事例についてご紹介します。
まずはマイクロクレデンシャルの内容や、注目される背景についてチェックしていきましょう。
マイクロクレデンシャルとは先述の通り、特定のスキルや知識を学習したことを証明する、小規模で柔軟な認定資格やデジタル証明書のことです。短期間の学習や特定の分野に特化した成果を認証する手段として注目されています。例えば、オンライン学習プラットフォームで提供される修了証や、デジタルバッジと呼ばれる形式で発行されるものが典型的な例です。これらの証明書は、主にITやデータ分析、マーケティングといった実践的なスキルの証明として利用されることが多いです。
正式な用語とはされていませんが、マイクロクレデンシャルの対比として、従来の大学の学位(学士号、修士号、博士号)や国家資格、大規模な教育プログラムで得られる資格や証明書をマクロクレデンシャル(Macro-Credential)と呼ぶことがあります。
マイクロクレデンシャルが注目される背景には、現代の労働市場や教育環境などいくつか理由が挙げられます。例えば、ビジネスパーソンに求められるスキルが細分化され、その有効期間も短くなっていること。そして、リスキリングとアップスキリングの必要性も大きな理由です。働き方が多様化する中で、これらは私達のキャリアの中で当たり前となっていくでしょう。また就職・転職市場において、企業は学位や資格だけでなく、具体的なスキルや成果を重視するようになってきています。マイクロクレデンシャルを活用することで、こうした学習ニーズや新しい評価基準に対応することができます。
マイクロクレデンシャルにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。また、事例をいくつかご紹介します。
マイクロクレデンシャルのメリットには、下記のようなものが挙げられます。一方でデメリットもありますので、取り組む際には留意しておきましょう。
・メリットその1
多くの場合、数時間から数週間という短期間でスキルを習得できる設計となっている点、そしてオンライン形式で学習プログラムが提供されるため、時間や場所に縛られずに仕事や学業と両立しながら学ぶことができる利便性が特筆すべきポイントです。
・メリットその2
マイクロクレデンシャルは取得後の成果をデジタルバッジや証明書として簡単に共有できる点も重要です。これにより、SNSや履歴書に具体的なスキルを可視化して載せることが可能となり、実務に直結したスキルを採用担当者やビジネスパートナーに対して自己アピールしやすくなります。
・メリットその3
企業側にとっても、従業員に対して必要なスキルを効率的に習得してもらう手段として利用できるため、人材育成のコスト削減につながります。加えて、急速に変化する市場ニーズに対応したスキルを持つ人材を育成しやすくなるため、競争力を維持するための有効なツールとも言えるでしょう。
・デメリットその1
一部の雇用者や業界ではまだ十分に認知されておらず、従来の学位や資格ほどの信頼性を得られない場合があります。
・デメリットその2
マイクロレデンシャルは特定のスキルに特化しているため、広範な知識を求められる場合には不十分なことがあります。
・デメリットその3
特に個人で取り組む場合には、受講費用がかさむ場合があります。
企業や業界団体、教育機関が発行するマイクロクレデンシャルも数多くあります。企業で発行するものとして有名なのがGoogleです。Googleはデータ分析やプロジェクト管理、ITサポートといった分野でマイクロクレデンシャルを提供しています。教育機関としてはサイバー大学、東北大学などがマイクロクレデンシャルを導入しています。学生は特定の分野やスキルに焦点を当てた学習を行い、その成果をオープンバッジ(デジタルバッジの種類のひとつ)として取得できます。これらのバッジはデジタル証明として活用でき、就職活動やキャリア形成に役立てることができます。なお、東北大学では社会人を対象とする教育プログラムも用意しており、リカレント・リスキリングにも寄与することを目指すとしています。
マイクロクレデンシャルは、必要なスキルを迅速かつ効率的に習得するための手段として重要な位置づけとなっていくことが予想されます。教育機関や企業が積極的に導入することで、より多くの人に新しい学びの機会が提供されるでしょう。取り組むにあたっては、どのようなスキルが必要か・どのような学び方が自分に合っているか、ご自分のスキルの棚卸や目指すキャリアの構築が初めの一歩として肝要です。<資格とキャリアのスクールnoa>やnoaを運営する株式会社ワークアカデミーが提供している新しい学びのプラットフォーム「noa+ connect(ノアプラスコネクト)」では、プロのキャリアアドバイザーが常駐し、皆さまのキャリア形成に寄り添います。各種スキル講座はもちろん、体験イベント等もあり、スキルアップから就職・転職までをさまざまな角度から、全面的にサポートする体制を整えております。まずはお気軽にご相談ください。