「専門用語が多すぎてつらい。」そんな悩みを抱えるIT関連の企業で働く営業担当の方は意外と多いのではないでしょうか。入社してあまり年月の経っていない新人であれば、尚のこと商品やサービスに関する知識や用語が分からず、苦労していると思います。またIT関連の企業・仕事に限らず、現代社会において「ITが苦手」というのは致命的な悩みと言えるでしょう。IT関連の知識や用語はどの職場でも必ずと言っていいほど、頻繁に耳にします。つまりビジネス・パーソンとして働く以上、ITの基本知識は必ず抑える必要があるわけです。そんな時におすすめの資格があります。それが「ITパスポート」です。この資格を取得すれば、ITの基本を身につけることができるのです。今回はそんな「ITパスポート」に関しての記事になっています。それではITパスポートの概要からメリット、勉強方法までを分かりやすく紹介していきましょう。
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ITパスポートは2009年に資格の認定が開始されました。年を重ねるごとに、受験者数が増加している人気の資格でもあります。では、ITパスポートとはどういった資格なのでしょうか。ITパスポートを簡単に説明すると、「ITの知識・用語はもちろん経営全般に関する基本的な知識が習得できる国家資格」と表現できます。つまりこの資格を取ることで、どの業界・職種においても必要不可欠な「ITと経営に関する総合的な知識」を身につけていることを証明できるのです。文系・理系を問わず、すべての人におすすめの資格とも言えるでしょう。
ではITパスポート試験は、どのような試験方式を取っているのでしょうか。まずITパスポートの問題は、大きく3つのカテゴリーに大別できます。「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」、これらの3つです。これらの各分野ごとにそれぞれ4択形式の問題が用意され、受験者が回答するというわけです。また問題への回答は、各受験会場に用意されているパソコンから行います。問題数は全部で100問で、ストラテジ系が約35問、マネジメント系が約20問、テクノロジ系が約45問です。ただし年度によって、それぞれのカテゴリーごとの問題数には多少の変動があります。また合格点は全体の6割です。加えて3つの分野の中で1つでも、3割に満たない分野があると不合格になってしまいます。このことからバランスの良い対策が求められることが分かるでしょう。
やはり資格試験の勉強を検討するときに気になるのが、資格の難易度ですよね。それではここからITパスポート試験の難易度を、「合格率」と「合格に必要とされる勉強時間」の2つの観点から見ていくことにしましょう。
まずITパスポートの合格率です。10月時点ではありますが、2019年の合格率は54.9%でした。この数字は2011年に合格率が40%程度だったことを考えると、かなり上昇していると言えるでしょう。この要因としては、資格の認定開始から年数を重ねるごとに出題される問題の分析が進み、資格取得の難易度が以前より低下したことが関係しています。ではその他の試験と比較してみるとどうでしょうか。まずITパスポートと混同されがちな「基本情報技術者試験」の合格率です。こちらの試験の2019年のデータでは、合格率は28.5%です。またエクセルやワードといった、Microsoft製品のオフィスソフト利用スキルを測る「MOS」という試験の合格率は、エキスパートで約8割、スペシャリストで約6割とされています。これらのデータから見ても、ITパスポート試験の難易度はそこまで高いわけではないと言えそうです。
一般的にITパスポートの合格には、100時間の勉強が必要とされています。毎日3時間の勉強で、3か月程度かかる計算です。もちろん合格率と違い、人それぞれ必要な勉強時間は異なるので、一概に「何時間以上勉強しなければ合格できない。」という法則は存在しません。しかしそれでも、過去の合格者が資格取得に、どのくらいの勉強時間を費やしたのかは知っておくべきでしょう。また人によっては、かなりの短時間で合格できたという人もいます。しかしそのような人たちは資格取得がゴールになってしまっているケースが多いです。学生であれば、それでも良いのかもしれません。ただしビジネス・パーソンにとっては、資格取得はゴールではないはずです。しっかりと実務に活かせる形で合格するには、100時間程度は勉強時間を確保した方が良いと考えられます。
ここまでITパスポートに関する概要と資格取得の難易度を説明してきました。ここからはこれらの情報を踏まえて、ITパスポートを取得するメリットを紹介していきます。
ITパスポートを取得するメリットの1つ目が、「幅広い知識が身につくこと」です。先ほど説明したように、ITパスポート試験で合格基準をクリアするには、3分野にわたる知識の習得が必要となります。では、これら3分野の特徴を少し見ていきましょう。まず「ストラテジ系」です。こちらは、企業の経営を考えるうえで必要な用語や知識が問われます。具体的には、経営戦略のためのフレームワークや会計に絡めた問題が出題されるのがこの分野です。次に「マネジメント系」ですが、この分野で合格基準を満たすには、ITプロジェクトの進め方に関する知識が必要になります。たとえばシステムを導入する時のテストの方法であったり、各テストごとのメリットであったりを問われるイメージです。最後に「テクノロジ系」です。この分野の具体的な問題例としては、パソコンの構造を問う問題や暗号方式を答える問題などが挙げられます。以上の3分野の具体例からも分かるように、ITパスポートを取得すると、実務で活かせる幅広い知識が手に入ります。
資格取得において、最終的なゴールは何でしょうか。世の中には、資格取得自体を目的とする「資格ホルダー」と呼ばれる人もいます。しかし多くの社会人にとって、貴重な時間を割いて取得する資格は、実務で使えばければ時間とお金の無駄になってしまいます。そういう視点で資格取得を考えてみると、ITパスポートは「実務で使えるスキルが身につく」というメリットもあるでしょう。たとえばITパスポートでは、データベースに関する知識も身につきます。データベースの知識があれば業務中に必要なデータがあるときに、いちいちデータ担当者にデータの取り出しを依頼する必要がなくなります。このようにデータベースを扱う基本の知識を理解することは、かなり実践的なスキルと言えるでしょう。
国家資格。ITパスポートを受験するときに大きな魅力となるのが、この言葉の響きでしょう。国家資格ということは、資格の認定機関が「民間」ではなく「国」ということです。国が認めてくれている資格なだけあって、ITパスポートの信頼性は抜群と言えます。また日本全体で、IT人材の育成に取り組んでいるということも推測できるでしょう。つまりITパスポートを取ることで、国が求める市場価値の高いビジネス・パーソンの第一歩を踏み出せると言えます。
今回紹介するITパスポートを取得するメリットの最後の1つは、「資格取得を推奨している企業がある」ということです。企業が資格取得を推奨しているということは、ITパスポートを取得すると評価が高まることが期待されます。ITに詳しい人材を、企業も必要としているというわけです。他にも企業の中には、ITパスポートの取得を必須としている企業もあるので、資格取得のメリットは大きいと言えるでしょう。
さてここからは、具体的にITパスポートを取得した人たちが、どのように実務でITパスポートを活かしているのかについて見ていきましょう。やはり資格は、取得してからが重要です。ですのでこれから紹介する活用事例を参考に、自分の業務でどのようにITパスポートの知識を活かしていくかをイメージしてみると良いかもしれません。
ITパスポートを取得して、実務で活用している事例の1つ目が「IT関連の営業」です。IT関連の営業と一言でいっても、扱うサービスや商品は幅広くシステムやソフトウェアの導入からwebサイトの運営まで様々です。しかしどんな商品やサービスであれ、共通して言えることは専門用語や知識がなければ、顧客に安心感を与えることはできないという厳しい現実です。つまりIT営業には、ITパスポートで習得するような基礎的なIT知識が必須と言えます。実際にIT系の企業である「株式会社アイネット」では、顧客ニーズを満たす提案を行うためにITパスポートの取得を推奨しています。より優れた顧客満足を営業職として提供していくためにも、ITパスポートは高い効果を発揮していることが分かる事例です。
ITパスポートの資格はITに直接関わらなくても、取得することに大きなメリットがあります。そのことを証明しているのが、「一般事務」でこの資格を活用している事例でしょう。たとえば一般事務として働くとある女性は、システム部門の人たちとのコミュニケーションに苦労していました。理由はシステム部門の人が使う専門用語が分からないからです。しかしITパスポートを取得したことで、専門用語の意味が分かるようになりました。結果として、その女性はシステム部門の人の話が理解できるようになっただけでなく、業務システムの不満や改善点をしっかりとシステム部門に伝えることが可能になったのです。
この記事の最後では、ITパスポートの勉強方法を2つ紹介します。それが「独学」と「スクールに通う」の2パターンです。それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、おすすめの勉強方法を考えていきましょう。
まず1つ目の勉強方法が「参考書・過去問での独学」です。この方法のメリットは、やはりコストが安く済むということでしょう。本屋に行けば参考書は、2000円から3000円程度で購入可能ですし、過去問も同じくらいの値段で販売されています。またコストが安く済むので簡単な思い付きであっても、資格勉強をスタートできることもメリットかもしれません。一方のデメリットは「実務で応用がしにくい」ということです。この理由としては、独学だとどうしても暗記だけに頼ってしまうことが挙げられます。つまり暗記だけすれば、なんとか試験には合格できるものの、いざ実務に落とし込むときに覚えたことが役に立たないということです。これはビジネス・パーソンにとっては致命的なデメリットかもしれません。
もう1つの勉強方法は、「スクールでの講座受講」です。この方法のメリットは、「実務で活かせる」ということが挙げられます。これは「独学」による勉強とは正反対とも言えます。スクールで講座を受講するということは、講師の方の経験を踏まえた話を聞けるということです。講師の方の経験談を聞けば、知識を実務で応用するイメージも湧いてくるでしょう。また講座では実務で活かせるように、すべての分野で過不足なくきっちりとカリキュラムが組まれています。この点もスクールで勉強する大きなメリットと言えるでしょう。一方のデメリットは「費用」と「時間」です。一旦勉強することを決意し講座に申し込んだら、これらのコストは取り返せません。だからこそ1度受験を決意したら、最後までやり遂げる強い意志が求められます。
「IT用語が分からない。」今回はそんな方を対象に本記事で、ITパスポートを取得するメリットやおすすめの勉強方法を紹介してきました。今後の「IT社会」で活躍するためには、すべてのビジネス・パーソンに「ITパスポートで得る知識」が必要になってきます。取得後すぐに実務で使うことはもちろん、将来さらに幅広い活躍をしていくためにも、ぜひ1度受験を検討してみてはいかがでしょうか。