皆さん、「デザイン思考」という言葉を聞いたことはありますか?「デザイン思考」とは、商品やサービスなどをデザインする際に辿るプロセスを、ビジネスシーンにおける課題解決や業務に流用し活かしていく思考法を指します。この「デザイン」とは「課題を見つけ、その解決に向けたアプローチをデザイン(設計)」すること。ユーザーの視点に立って「共感」や「高い満足度」を得られることに重きを置いたこの手法が今、多くの企業で注目を浴びています。
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「デザイン思考」が台頭してきた要因は複数ありますが、ここではその背景と、デザイン思考の有用性について説明していきたいと思います。
「デザイン思考」が注目される背景のひとつに市場構造の変化が大きく関係していると言われています。これまで、市場では顧客のニーズを調査、仮説・検証し、新たな商品を生み出すといったサイクルを辿ってきました。しかし、顧客ニーズの変化が急速で、サービスの多様化が求められるようになったこの時代、これまでの方法では、その変化のスピードや多様性に対応できなくなってしまいました。そこで新たに注目を浴び始めたのが、この「デザイン思考」です。「デザイン思考」を用いることで変化に即した対応が可能となるのです。
このように注目を浴び始めた「デザイン思考」は、あくまでもユーザーの視点に立って、声を聞き、課題を解決し、その共感や満足度を上げていくための思考法です。
ですので、既存の商品をより良くするのにはとても向いている思考法ですが、ゼロベースから新たに新商品を開発するのには、あまり適しているとは言えないでしょう。
では、なぜ「デザイン思考」は急速に変化する顧客ニーズや多様化に対応することができるのでしょうか。デザイン思考の発祥であるスタンフォード大学デザイン研究所ハッソ・プラットナー教授が作成したデザイン思考の代表的な5つのプロセスを紹介します。
第1ステップは<共感>。ユーザーニーズの観察から始まります。実際に自社の商品やサービスを利用したことのある顧客へのインタビューなどを通じ問題点を洗い出すことが原点になります。次に第2のステップ<定義>です。問題点が揃った所で、それらを深堀し核心はどこにあるのか定義づけを行います。そして、第3のステップ<概念化>に移ります。ここでは、問題に対してどのように解決していくか、解決の糸口をスタッフ同士でブレインストーミングなど用いながらアイデアを出し合い具体策を検討します。とにかくたくさんのアイデアをチームで出していくことが求められます。
いよいよ第4のステップ<試作>です。この段階になると第3段階までで出てきたアイデアを具体的に試作に落とし込んで社内で検討していきます。完璧なものではなく、あくまで低コスト、そして短期間で簡単に試作を仕上げることが求められます。
そして最後、第5のステップ<テスト>です。ここでは実際にユーザーに向けて検証を行います。そして、フィードバックをもとに、改善するということを繰り返しながらゴールを目指します。この繰り返しによって、よりユーザーニーズを満たすことのできる商品やサービスに仕上げることができるでしょう。
このように「デザイン思考」では、それぞれのプロセスで完璧を目指すのではなく、たくさんのアイデアを皆で出し合い、できるだけ短い期間でそして低コストで実証を繰り返しゴールを目指していくことになります。言うなれば立ち止まってよく考えるのではなく、走りながら考えていくということです。その方法が今のスピード感や多様性の時代にマッチしたのです。今回は、「デザイン思考」について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?この思考法は、ビジネスにおいてさまざまな職種や業界に通用する手法です。特にユーザー目線に常に立つ必要がある職種には欠かせないデザイン思考。スクールnoaで人気のWEBデザイナーやWEBディレクターを目指せるコースでも、顧客が本当に求めているものは何か、その本音を見つけ出す実践的なコミュニケーション力を育成しています。