今、注目される「アダプティブラーニング」とは

皆さん、アダプティブラーニングという言葉を知っていますか?アダプティブラーニングは、文部科学省が推奨するこれらからの学び「Education(教育)」と「Technology(技術)」を組み合わせた「EdTech(エドテック)」の中のひとつで、デジタル技術を駆使しながら、学習者一人ひとりに最適化された学びを提供する注目の学習手法です。従来のみんなが同じように学ぶ画一的な学習と比較して、より効果的で深い学びが実現できると言われ、近年広がりを見せています。今回は、このアダプティブラーニングについて詳しくお話ししたいと思います。 

教育現場における導入

なぜアダプティブラーニングが今、広まってきたのか。これまでも個人の苦手分野を繰り返し学習するなど、一人ひとりに向けた学習の提案を教員は行ってきました。しかし、それらは全て教員自身の力量に委ねられたものでした。ところが、コロナ禍を経て急速に進んだデジタル化や、文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想。さらには、経済産業省が発表した、EdTechを活用した新しい学び方を実証する「未来の教室」事業によって教育現場でアダプティブラーニングが広まってきたのです。

ICT導入により変化した学びの場

具体的には、教員はICTを活用することで、LMS(学習管理システム)などを通じ生徒達の学習履歴やテストでの正誤、問題を解くのにかかった時間などあらゆる情報を簡単に入手することができるようになりました。これらの情報は家庭でのオンライン学習などに利用されると同時に、実際の教育現場において、例えば生徒達の苦手な分野に比重を置いた授業設計などにも役立つこととなりました。このようにアダプティブラーニングは、さまざまなシーンで教員を支援する強い味方となりました。

民間企業によるサービスの提供

教育現場でのアダプティブラーニング浸透には、民間企業によるサービスの提供も貢献しています。例えば、Classi(クラッシー株式会社)。ソフトバンク株式会社と株式会社ベネッセホールディングスの合弁会社ですが、教員の授業運営や生徒指導そして個々の学びをより深く最適な形でサポートするための教育ICTサービスの提供を始めています。また、株式会社すららネットでも、無学年オンライン教材として自分のペースで学ぶことができる教材「すらら」が展開され、全国の学校や学習塾での利用が広がっています。
・子供の無限の可能性を解き放ち学びの形を進化させる教育ICTサービス「Classi」https://classi.jp/
・無学年オンライン教材「すらら」https://surala.jp/

社会人に向けた人材育成の場でも浸透するアダプティブラーニング

アダプティブラーニングは教育現場だけではなく、企業研修や資格スクールといった社会人の人材育成の場でも展開されています。

アダプティブラーニングのメリット

アダプティブラーニングの最大の特徴は、学習者によって内容が随時更新されていく点にあります。学習履歴から個人の理解度を測定し、それに沿って内容がカスタマイズされるのです。このような個人に適した学習を可能にすることは、忙しい社会人にとって何よりも大きなメリットと言えるでしょう。また、アダプティブラーニングでは人の手を煩わさずに最適な学習提案ができるので、研修や従業員育成を担う人事・管理部門における、大幅な業務負担の軽減にも繋がります。

アダプティブラーニングのこれから

時代の変化とともにその在り方を変えていく学びの方法。今回は「EdTech」の中でも注目されるアダプティブラーニングについてご紹介させていただきました。教育の現場で先行し、浸透し始めたアダプティブラーニング。しかしながら、一人ひとりに最適な学習提案ができるこの学習法こそ、忙しい社会人の皆さんにピッタリではないでしょうか。
そして、今後は、AI技術の進歩やビックデータの活用技術の発展とともにさらに多様なサービスが生まれると言われています。アダプティブラーニングも私達にとって身近なものとなる未来がすぐそこまで来ているに違いありません。