近年、学校教育で注目のワード「STEAM教育」、どのようなものかご存知でしょうか。「学生にしか関係ないのでは」と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、ビジネスマンこそ押さえておきたい学習手法でもあるんです。この記事ではその基本知識をご紹介していきます。
AIをはじめとする急速な技術の進展により社会が激しく変化し、多様で複雑な課題がある今日。そんな不確実な社会を生きていくには、これまでの文系・理系といった枠にとらわれず、教科ごとの学びを基盤としつつ、それらを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結びつけていくスキルの育成が求められています。そこで文部科学省では、新しい時代に対応した教育としてSTEAM教育の推進をしています。まずはその定義を確認しましょう。
STEAM教育は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)から5つの頭文字を取ってつくられ、理数系教育の充実を図るSTEM教育に、Art(芸術)のAを加えたものです。STEM教育がエンジニアリングやロボット制御などを行いながら問題解決する際、理数系4領域の知識を横断して活用するのに対して、STEAM教育は自由に創造し、表現する芸術の要素が加わっています。また「文章や情報を正確に読み解き対話する力」、「科学的に思考・吟味し活用する力」、「価値を見つけ出す感性と力、好奇心・探究心」を養うことを目的としており、各教科での学習を実社会での課題解決に活かしていくための教科横断的な教育としています。
日本では2010年代以降、教育機関においてSTEAM教育の取り組みが増えてきたとされています。STEAM教育は現在、どのように浸透してきているのでしょうか。
高等学校では2022年度から、「総合的な探究の時間」が導入されました。この授業ではSTEAM教育を推進しており、問題発見やその解決を目指す学習活動の充実を図ることを目的としています。そのため、各学校で工夫した授業が実施されており、グループワークやディスカッションをしたり、フィールドワークに出かけたり、ひとつの教科では括ることができない多様な学びで生徒の思考力を育んでいます。大学ではさらに活動範囲を広げ、異なる分野を取り入れた学びも加えることで多角的な視点で専門分野の知見を深められるプログラムを提供するなど、誰もがSTEAM教育を受けられるような教育課程の見直しが進められています。
企業でも新しい技術やアイデアを生み出し、競争力を高めるために、従業員にSTEAM教育を提供することが求められるようになってきています。具体的には、人工知能や機械学習などの最新技術を学ぶためのオンライン教育や、プログラミングやロボット技術の研修、デザイン思考のトレーニング、クリエイティブなアイデアを生み出すためのワークショップなどが行われるようになっています。さらに大手IT企業では、教育プログラムを開発し、学校や教育機関と連携してSTEAM教育の普及を促しています。企業と社会との共栄につながるこのような取り組みは、今後も増加していくことが予想されます。
STEAM教育の利点としては、創造性と問題解決能力の育成が挙げられます。柔軟な思考で社会課題やイノベーションに対して包括的なアプローチを提供し、持続可能な社会の構築に貢献することが期待されるため、STEAM教育で育まれた人材は、ビジネスの場において、より求められていくこととなりそうです。
このように、ますます必要とされるSTEAM教育の素養ですが、これらの教育を受けていないという方も、これからの自己学習で十分にそのスキルを備えることができます。その方法をいくつかご紹介します。
1.オンラインコミュニティやイベントへの参加
STEAMに関連するオンラインコミュニティやイベントに参加することで、他の人との交流や知識共有の機会を得ることができます。技術やアートに関心を持つコミュニティに参加し、議論やアイデア交換を通じて新たな視点や知見が増えていくでしょう。
2.チームメンバーとの協力
チーム内での協力やコラボレーションはSTEAM教育の重要な要素です。他のメンバーとの意見交換やアイデア共有を通じて、多様な視点や専門知識を結集し、クリエイティブな問題解決やイノベーションを促進することができます。
3.スクールやオンライン教材の活用
「何から始めれば…」となんとなく不安になった方は、プログラミング、デザイン、データ分析などのスキルを自分の興味やニーズに合ったものから、ビジネススクールを活用して学習を始めるのもオススメです。資格とキャリアのスクールnoaではプロのキャリアカウンセラーが皆様のスキルアップをいつも隣りでサポート。オンラインでの受講も選択できます。まずは「なりたい自分」をお話してみることから始めてみませんか?
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