【社会人の基本】会社の飲み会ビジネスマナー「席次」をマスター

社会人として働く上で必要な知識は、業務に関するものだけではありません。昨今、マナーやルールの把握と実践はとりわけ重要視されていますよね。社内外問わず、常に社会人に相応しい立ち居振る舞いが求められていることを肌で感じている人は多いのではないでしょうか。

ビジネスマナーは種類も多く把握するだけでも大変ですよね。しかし、その積み重ねが信頼関係の基礎となります。あなた自身の評価に反映され、後に報酬として返ってくることを考えてみると、その重要性を再確認できるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、会社の飲み会ビジネスマナー「席次」について解説します。
せっかくの楽しい場で信頼を失ってしまうことのないように、飲み会におけるビジネスマナーをおさらいしましょう。

簡単にいうと、席次とは飲み会の席順のことです。社会人の基礎的なマナーの一つですので、確認と復習も兼ねて再確認してみましょう。

席次とは席順のこと

席次(せきじ)とは、会合の場所での座席の順序のことです。
会社の飲み会の場合、どこに誰が座るかという席順のことを指します。

席順にも序列があり、最も偉い人が座る場所を「上座」もてなす側や目下の人が座る場所を「下座」といいます。(詳しい内容は次の項で解説します)

席次のルーツは室町時代の書院造(しょいんづくり)にあります。当時、住居は日常生活を送るためだけではなく武士たちが接客や儀式などを行うための場所としても使用されていました。戦乱の時代の武士たちが情報交換や相談などを行うために使われていたんですね。その際、相手を立てるために必要のある場面もきっと多かったのでしょう。相手へのもてなしとして、部屋の一番奥の落ち着いた場所に相手を案内するようになったそうです。

600年以上に渡りその精神は受け継がれ、今や日本の伝統と呼ぶに相応しいビジネスマナーになっています。

上座

上座(かみざ、じょうざ)とは、身分が高い人やもてなされる側が座る場所のことです。会社の飲み会の場合には社長や上司など役職の高い人が座る場所です。基本的には出入り口からもっとも遠い場所が上座になります。景観がよく見えたり、ゆったり座れるソファがあったり、暖炉や飾り棚に近い席も上座です。

「目上の人(もてなされる人)にはゆったりくつろげる場所に座ってもらおう」というおもてなしの精神が上座のという考え方のルーツです。平たく言ってしまえば、居心地の最も良い席が上座です。

下座

上座の対義語が下座(しもざ、げざ)です。下座は身分の低い人やもてなす側が座る場所のことです。基本的には、出入り口に最も近い席が下座です。出入り口付近は、人の出入りが多かったり料理が提供されたりするため、落ち着くことが出来ませんよね。会社の飲み会の場合、下座には幹事が座ることが多いです。新人はうちはその隣に座るようにしましょう。

余談ですが、会社の飲み会に参加する際に一番重要なことは最初に着席しないことです。出入り口付近で社内の人に奥に座ってもらうように案内したり、幹事の挙動を見ておいたりしましょう。最後には必然的に下座が余りますので、こうすれば席次で失敗することはまずありません。

ケース別に見る席次

席次の基本的な考え方として、新人は下座、すなわち「出入り口に近い席」「すぐに廊下に出られる席」「料理が提供される席」に座るというものがあります。
この項では、座席の種類別に具体的な席次を見ていきます。

ケース1:洋室、テーブル席の席次

ほとんどの会議室や個室のレストランなどはこの形ですよね。洋室、テーブル席の場合は基礎を押さえるだけでOKです。
洋室、テーブル席のイラスト
この場合は、

  • 上座…出入り口から最も遠い席(画像左上)
  • 下座…出入り口から最も近い席(画像右下)

となります。最もオーソドックスなケースですね。

なお、お茶などを出すときには席次の順番に従うのがマナーです。会社の飲み会においてグラスなどを回すときにはこの点に留意しましょう。

ケース2:和室、座敷の席次

人数の多い飲み会に和食系のお店を選ぶとこのような席に案内されることがありますよね。和室、座敷の場合も考え方は洋室のときと全く同じです。
和室、座敷の画像

  • 上座…出入り口から最も遠い席
  • 下座…出入り口から最も近い席

ここまでは、基礎中の基礎ですのでご理解されている方も多いのではないでしょうか。

ケース3:円卓の席次

続いて、円卓の場合を見ていきましょう。円卓の場合も、考え方はこれまでのケースと同じく、出入り口から最も遠い席が上座、出入り口から最も近い席が下座です。

円卓の場合、押さえておきたいポイントは2番目以降の席次です。
円卓の画像
諸説ありますが、日本では上座の左手にあたる席が2番目、右手側が3番目とされています。これは左上右下(さじょううげ)という飛鳥時代からの伝統礼法に基づいた考え方です。席次表を作る際など迷ったときは「左上右下」を思い出しましょう。(ただし西洋の場合は逆になります)

また、中華料理店には回転するテーブル(中華テーブル)が用いられている場合もあります。これは上座の人から順番に料理を取るのがマナーとなっています。

ケース4:車の席次

車の席次のイラスト
最後に、車の席次を紹介します。1台のタクシーに4人が乗車する場合を想定してみましょう。その場合の席次は以下のようになります。

  1. 後部座席、運転手の真後ろ
  2. 後部座席、助手席の真後ろ
  3. 後部座席、1と2の真ん中
  4. 助手席

 

これは出入り口からの距離ではなく、安全性を基準にした結果の席次です。万が一の事故の際の安全性が最も高いのが運転席の真後ろの席と言われているため、そこが最上位の上座となります。道案内や会計などの役割を担う助手席が下座というわけです。会場への送迎の際などにうっかり後部座席に乗ってしまった、ということがないように気をつけましょう。

このように、出入り口からの距離以外の考え方に基づいて席次が決まるケースもあるのです。次の項では特別な席次を見ていきます。

応用編:席次の特別な考え方

席次にも、もちろん例外があります。
この項では席次の例外的な考え方を4つのケースに分けて紹介します。

景観のいい席

高層階のレストランや庭付きのお店などで食事をする場合、景観の見える場所が上座となります。目上の人に景色を楽しんでもらおうという心遣いから、このような考え方になっているのです。絵や写真などが展示してある場合はそれらを正面から見られる席が上座となります。

会食や飲み会に際して、会場となるレストランの特色を事前に調べておくと、内装や景観に基づいて席次を考えられるようになります。こういった気遣いができるようになると上司からも一目置かれるでしょう。

空調や照明の当たり方

奥の席が空調の真下になっている場合もあります。極端に寒かったり暑かったりすると、食事も楽しめなくなりますよね。そういった場合は、説明の上で目上の人にはその席を避けて頂くように案内しましょう。直射日光があたる席やライトの照射が眩しい場合も同様です。
会場を下見できる場合は、不快感を与える要素が上座周辺にないかくまなくチェックしておきましょう。

不仲な人は遠ざける

会社の中には多くの人間関係がありますよね。中には折り合いが悪い人たちもいるでしょう。険悪な人たちを近くに座らせるメリットはありませんので、事前に分かっている場合はそれとなく席を離してあげましょう。

席次表を作る必要がある場合は人間関係を把握したうえで反映できるとベストです。席替えが難しい狭い席の会場や、途中降車ができないクルーズなどの場合は、特に気を払いましょう。

微妙な席のときは上司を真ん中

会場によっては、席がL字になっていたり、細長いテーブルで動線が確保しづらいという場合もあるでしょう。

こういった場合、奥の席に座った人は会話に参加しづらくなり、せっかくの機会を楽しみづらいこともあります。上座に案内したつもりが、上司の声が聞き取りづらく何度も聞き返してしまったり誤注文につながったりしては本末転倒ですよね。

これらのケースのように、席次にも例外はあります。基礎をおさえることは重要ですが、それに囚われすぎてはいけません。臨機応変に、おもてなしの心で考えることが重要です。

まとめ

ここまでの内容を、簡単におさらいしましょう!

飲みの席での振る舞いの重要性

そこまで厳密に序列を意識していない会社も増えてきてはいますが、やはりこういった場での言行は見られているものです。

飲み会での対応が、取引先との食事会に連れていけるかどうかなどの判断基準になることもあります。飲み会にまでビジネスマナーがあることを煩わしく思う人もいるかも知れませんが、せっかくの楽しい場所で自分の評価を下げてしまってはもったいないです。楽しい場所で評価を落としてしまわないように、基本的なルールを覚えておきましょう

重要なのは気遣いと思いやり

ビジネスマナーが重要視されているのは、気遣いと思いやりを表明する行為だからです。どんなに仕事ができたとしても、失礼な態度を取る人と一緒に仕事をしたいと思う人はいないですよね。
重要なのは上座下座問わず、相手に敬意を払うことです。敬意と思いやりを相手に伝える手段としてのビジネスマナーを覚えておいて損はありません。仲間や先輩と楽しく食事をするための方法の一つとして席次を覚えておく、という考え方で十分です。必ず役に立つ日が来ると思いますよ。

ビジネスマナーはnoaで

前述のように例外も多いため、席次を始めとするビジネスマナーに苦手意識を持っている人もいるのではないでしょうか。

基礎的な考え方に加えて例外も多数あり臨機応変さが求められるため、多岐に渡るビジネスマナーを一人で身につけるのは誰にとっても難しいことです
「相手から好印象を持ってもらうためにどうしたらいいんだろう?」と悩んでいる人は、プロの講師の方々に話を聞いてみてはいかがでしょうか。

noaは、一人ひとりの想いや夢に真摯に寄り添い、徹底してサポートいたします。